7人が本棚に入れています
本棚に追加
闇の中に灯されるのは寂しげな蝋燭の炎。
鋭く輝いたのは短刀の切っ先。
刃は獲物の首もとに食い込み、切れ目からは鮮血が流れ出す。
「やめろ………!?俺が死ねば情報は得られなくなるぞ」
身動きの取れない暴漢は、今にも発狂しそうな表情だ。
しかし、刃は動きを止めることはない。
「別に?君が死んでも構わないさ。他の奴らを捕まえて吐かせればいいんだから」
言の葉を発した男は女に囁くよう、優しく喋りかける。
「運が悪かったね。オリヴェスなら情けをかけたりするけど、俺はそんな事しないんだ」
「やめ……………やめろおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
絶叫が部屋中に響き渡る。それが終えると同時に「ゴトッ」と床に何かが落ちる。
男は石ころを転がすように壁に蹴りつける。
「………おい。ヒョウリュウ、少しお前は我慢を覚えろ。それじゃあ拷問してる意味がない」
一部始終を見守っていた銀髪の男が、壁によりかかり呆れた表情をしていた。
「なら、面倒臭がらずにオリヴェスがしなよ。僕はこういうのは苦手だって、耳が痛くなるくらい言ってきたはずだよ」
俺は顔面についた血液を手で拭き取りながら、先程まで息をしていた暴漢の首のない死体を見つめる。
「……多分、こいつは何も知らないと思うよ。苦し紛れで情報を知ってるってほざいただけだろ?」
先程蹴り飛ばした首が壁に弾かれ、傍らに転がってきた。
その生首の髪の毛を掴み、隅に溜めている水槽に放り込む。
その途端に激しく泡立ち、生首が形を残すことなく消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!