第四章 卒業間近、そして彼らは

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  「ラスター!! それを返せぇぇぇぇえ!!」 若い青年――カインの怒声が、商業都市バロルの大通りに響いた。 商業都市バロルは名前の通り商業がさかんなため、大通りには様々な店が立ち並んでいる。 「あはははは! カインも早いな!」 しかし二人が走っているのは深夜三時のせいか、人気はあまりない。 「待たないと朝食抜きだよ!」 「鬼さんこちらー!」 スピードだけならトップクラスのラスターに、カインは見事食いついていた。 原因は、ラスターが持っているカインの日記帳。 「まさかあのカインが、日記帳を書いてるなんてな!」 「うっ、うるさい! 返せぇぇぇぇえ!!」 二人は恐ろしいスピードで大通りを駆けていき、学園の周りや裏通りまでも走っている。 意外なのは、あのカインが顔を真っ赤にしながら全力で追いかけていることだ。
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