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「ラスター!! それを返せぇぇぇぇえ!!」
若い青年――カインの怒声が、商業都市バロルの大通りに響いた。
商業都市バロルは名前の通り商業がさかんなため、大通りには様々な店が立ち並んでいる。
「あはははは! カインも早いな!」
しかし二人が走っているのは深夜三時のせいか、人気はあまりない。
「待たないと朝食抜きだよ!」
「鬼さんこちらー!」
スピードだけならトップクラスのラスターに、カインは見事食いついていた。
原因は、ラスターが持っているカインの日記帳。
「まさかあのカインが、日記帳を書いてるなんてな!」
「うっ、うるさい! 返せぇぇぇぇえ!!」
二人は恐ろしいスピードで大通りを駆けていき、学園の周りや裏通りまでも走っている。
意外なのは、あのカインが顔を真っ赤にしながら全力で追いかけていることだ。
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