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「だったらなんだ。あんたには関係ないだろ」
バレてしまったのなら仕方がない。弱っているところなど他人には見られたくないので、早く帰ってくれないかと自然と態度が冷たくなる。
「関係あります」
空気が、ピンと糸を張ったように変わった。背けていた顔を真田の方に向けると、真摯な瞳でこちらを見つめていた。
「某は、某以外のモノが政宗殿を傷つけるのは許せない」
「何、」
言っているんだと続くはずだった言葉は、真田の行動によって制止の言葉へと変わった。
「っ!おい!?」
真田の手は俺の着流しの合わせに触れると、そのままがばりと剥いだ。露にされた肌が外気に触れて寒さにぶるりと小さく震えた。
「こんな傷を……」
伸ばされた手は俺の左脇腹に触れる。傷に触れられたせいで、逃れようと自然身体が動く。だが、傷を庇ってか身体は思うように動かず、真田の手を避けたと思ったが実際には少し揺れただけだった。
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