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心配そうに寄せられていた眉根が、小十郎の名前を聞いてぴくりと動いた。
「某より、小十郎殿の方が良いのか?」
「ah?な、に」
視界が暗くなったかと思うと、額に生温かい感触。その温かいモノは米神に移り、そのまま耳まで降りてきてちゅっと音を立てて離れていった。
「政宗殿が回復されるまで、某が介抱致す」
「阿呆なことばかり言ってるな。あんたにも職があるだろ」
「某は!弱っているそなたなど、他の者の目に触れさせたくなどない」
冷やりとしたものが首筋に当てられ、傷のせいで熱が出てきた身体には心地良いと感じたが、それがすぐに真田の手だと気づく。
「このまま、力を入れてしまえばどうなると?」
真田の掌はピタリと俺の首筋に当てられていた。
「Ha、奥州の独眼竜を脅すか。真田幸村、あんたがそんな卑怯なことできるならやればいい。俺はもう寝るぜ?そろそろ、つらい、から、な……」
身体は悲鳴をあげていたのか、意識は程なくして飛んでいった。
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