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「大丈夫か?」
不意に上から優しい声が降り注いだ
上を見れば先程隊長と名乗った綺麗な銀の髪に碧い眼の軍人―…ミトスがいた
「大丈夫か?」
「あ…は、い…ああっ!」
再度話しかけられたときにはっとして跳び起きればバイブが動きその場に俺は崩れおちる
そんな俺にミトスはすっと手をのばしバイブを抜き取ってくれた
「あり、がとうござい、ます」
「気にするな。…それより、お前はハーフか?」
「はい…」
「そう警戒するな。俺もお前と同じハーフだ」
「え?でも、おうけ、ちょくぞく…て王様につかえてるんでしょ?」
「今の王はお優しく差別など許されない方だ。魔族狩りを廃止なされたのもあの方だ」
警戒しながら話す俺にミトスはふっと笑みを零しながら頭を撫でてくれた
その優しさが嬉しくて
肩にかけられた毛布をにぎりしめながらミトスに俺は抱き着いた
「…こわ、か…った…!」
「もう大丈夫だ…俺が守ってやるから」
そういいながら背中を優しく撫でてくれるミトスに安心した俺はミトスの温かい腕の中でそっと意識を手放した
縛られた鎖はちぎれた
解放された翼を背に感じた瞬間だった
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