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席に着いた女性はおもむろにタバコを口にくわえ、それを見た内勤の男が火を付けた。
ひと口吸うと、女性はタバコを灰皿に擦りつけ、火を消した。
『もったいなっ!』
俺は心の中でそう叫んだ。
無表情な女性。
「おいっ!」
「おいっ!」
さっそく内勤から声がかかった。
俺は無意識のうちにそんな彼女に見とれてしまっていたようだ。
「なにぼーっとしてんだよ!
お前あの席に着いてみろ。
新規のお客さんだから頑張ってこい。
それと隣のお前。
お前も一緒に行ってこい。」
隣にいたのは俺と1日違いで入店した一応先輩のヒデだ。
ヒデとは歳も同じ、お互い未経験という事でお店では1番仲が良かった。
ただ、俺よりカッコイイとこだけがムカつくんだよね。
でも安心した。
ヒデと一緒なら気を使う事なくなんとか話せそうだ。
普通なら
『よし!俺が楽しませて、指名もらえるようやってやるぜ!』
となるのだが…
今の俺は不安の方が大きい。
俺はヒデとともに、花子のもとへゆっくりと歩き出した。
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