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「君を守る」
それが僕の仕事なんだよ、と彼はふざけたように笑った。
部下の後始末はボスの仕事だろう?
年下の家庭教師は10年前から俺を立派なマフィアのボスにすべく育ててきたくせに、いざとなったらデスクワークばかりで、外に出ることは殆どない。
「なぁ、」
「ダメだぞ」
「…まだ俺何も言ってない」
「お前にはお前の仕事があるんだ」
「…はぁ」
まだ何も言っていないのに、リボーンには俺の考えがお見通しだ。トレードマークの帽子を顔の上に乗せたまま、こちらを見ることもなく欠伸を1つ。年下だとは到底思えない。
「でも、今回のことは俺が行くべきだ。リボーンが行くならともかく…どうして骸なんだ」
「あいつが適任だからだ」
「でも…!」
「うるさい」
ジュっと前髪が数本焼ける音。焦げ臭い。
何も見ずに放たれた銃弾は、俺の後ろの壁に埋まっていた。
溜め息が1つ勝手に零れる。肝が冷えたせいか、すっかりやる気もなくしてしまった。
「散歩してくる」
積み上がった書類を倒さないように気をつけ、デスクを離れる。
ドアノブに手をかけても何も言わないところを見ると、見逃してくれるらしい。
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