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そのままフラフラと中庭の噴水まで向かう。マフィアなんて暗い職場のはずなのに、この建物はどこも綺麗に手入れがいき届いている。
その中でも、特に中庭。白い縁の噴水に、季節の植物。ここが俺のお気に入りだということを皆知っているのか、俺が来るときは決まって人気がない。
部屋に籠もっているとわからなかったが、空は青々と晴れていた。噴水が太陽の光を反射して眩しく、うっすらと虹がかかっていた。
ベンチに座りながらぼんやりとそれを眺める。
俺が仕事に集中できないときは大概決まっていて、そのたびにその理由を突きつけられている気がして滅入る。
きっとリボーンもそれがわかっているのだろう。
この時期――骸が長期任務に出ているときは、仕事が思うように進まない。結局、帰って来たときに仕事が進んでいないことがバレてしまうのが嫌で、片付けてしまうのだけど。
そもそもこんなことになったのは、あいつが人に見せない笑顔とか、勝手に俺の部屋でうたた寝とか、たまに見せる素顔がいけない。
「骸のくせに!」
考えると苛々が増す。思わず声にしてしまったが、ちょっとスッキリしたから良しとしよう。
「守られる程、弱くなんかないのに…」
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