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「ジュンス……。」
「ご、ごめんユチョン。」
弾き飛ばされた濡れタオルを見てジュンスはしまった、と頭に血が上った自分を後悔する。
完全な八つ当たり。
とっさに謝ると怒った風でも無く立ち上がったユチョンと目が合った。
「別にいいけど。」
「……ごめん。」
ため息混じりに言われてもう一度謝ったが、部屋の中には気まずい雰囲気が漂ってジュンスは言葉を継ぐことが出来なかった。
ユチョンは黙ってタオルを拾うと氷水の入った洗面器で濯いでジュンスの額に押しあてる。
「ちゃんと冷やせよ?。」
「うん……。」
言われた言葉に頷くと洗面器を持ったユチョンは部屋を出て行った。
冷たいタオルを押さえたジュンスはその背中を見送る。
酷い事したのは自分だけど、離れていく背中が切なくて仕方なかった。
ドアを出ていくユチョン。
捨てられてしまったラグ。
ひとりぼっちの自分。
バサリとベッドに仰向けになったジュンスは、痛む額から熱くなった目蓋の上に冷たいタオルを移動させた。
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