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自宅から駅まで10分。
電車に5分間揺られて、着いたらまた走って5分弱。
ようやく見えてきた校門には、ジャージ姿で若干メタボ気味の教師、通称チョメ先生(本名熊野)が仁王立ちで私を待ち構えていた。
チョメ先生は私を見るや否や、鬼のような形相で怒鳴り出した。
「ちょっオメッ、藤原ァ!また遅刻か!」
「ハァ、ハァ……あっ、チョメ先生、おはよー。ハァ、珍しいね、先生も遅刻?」
「そうなんだよまったく、最近朝が辛くて……って誰が遅刻するか!お前みたいなののお陰でおちおち朝礼にも出席できんわ!」
「いや、朝礼くらい普通に参加しろよ。まぁどうでもいいけど」
「ちょっオメッ……まだ話は終わってないぞ!」
チョメ先生の脇をダッシュで駆け抜けると、伸ばしてきた手を振り切ってさらに加速する。
よし、校門クリア。
てかチョメ先生を横切る時、強烈な悪臭が……。
「おい藤原ァ!あとで職員室に来るんだぞ!あとお前の彼氏にも『今日の委員会忘れるな』って伝えとけ!まったくお前ら二人揃って問題ばかり起こして……!」
あーあーあー聞こえない、聞こえない。
背後から叫ぶチョメ先生の声に耳を塞ぐ。
つーかあいつは別に彼氏じゃねぇし。
ただの幼馴染みだし。
ふざけんなし。
疲労感たっぷりの体に鞭打って校舎へ突入した。
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