第一章【桃色少女】

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萩野とかいう少女は、軟らかい笑みを浮かべて右手を差し出した。 体が小さければ、もちろん手も小さい。 なんだろう……すごく胸がキュンとする。 あと首の痛みが疼く。 子供ってあんまり好きじゃないけど、この娘はなんか小動物みたいで、見てて和むというか、可愛いらしいというか。 なんだこの気持ち。 庇護欲?母性本能?もしや……萌え!? どっかのクラスに「〇〇たん萌え~」という鳴き声のブタメガネがいた気がするけど、あいつもこんな気持ちだったのか!? あいつがフィギュアを眺める卑しい眼差しを、今の私もしているというの!? いや、違う! 私の心はピュアなの! あんな下品な目つき、するはずがないわ! この気持ちは、きっともっと素敵で純粋なもの。 例えば…………恋! って乙女か己は!! いや乙女だ!! 「ああ、うん、よろしく」 脳内のくだらない一人漫才を投げ出し、小さな手を握り返した。
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