序章 【夜空の兎】

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私は膝から崩れ落ち、首をおさえて「うぅぅ」と悶絶する。 そんな私に影がさす。 「もー、萩だって乱暴はしたくないんだよ?」 頭上からむっすりとした声が降りかかる。 いや、ちょっと待って。 状況がまったく飲み込めない。 足は震えるし、首も痛い。 糸が切れた操り人形のように、地に伏している私。 目の前には、ニーソックスを着用した細くてキレイ足が二本。 あ、すごい美脚。 て違う違う違う違う。 その足のすき間から見えた光景は、舞い上がる土煙で埋め尽くされている。 アイツは? 私は? 彼女は? 土煙? 銃声? ライフル? …………ライフル? 「うわあ!」 ソレを見るやいなや、私は高速で後ずさる。 少女と距離をとると、そこで初めて少女の全体像を視界に捉えた。 背は低く、150㎝もなさそう。 栗色のショートカットで、左右を小さく結ったツインテールにしている。 白のカッターシャツと紺色のミニスカートに白の二ーソックス。 制服っぽいけど、どこの高校かは分からない。 そして何より目につくのは、肩にかけた黒光りするライフル……のようなものである。 幼さの残る顔は無表情で、静かに地べたに座り込む私を見下ろす。
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