序章 【夜空の兎】

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ライフルを背負った少女は笑ってる。 私を見下ろして笑ってる。 「そんなにビビんなくてもいーじゃーん。 それよりもケガはないかい、不良少女さん?」 あなたのせいで首がありえないほど痛みます。 「ま、人間なんだし生きてりゃケガも治るでしょ」 少女は腰に手を当ててあっはっはと朗らかに笑う。 どうしてそんなに笑えるのだろう。 今の状況がどうなってるのか分かってないの? まだ土煙の中にさっきの化け物が紛れてるし、あんなに派手な銃声を聞き逃す人もそんなにいないだろう。 今に野次馬が集まる。 そうなったらどうなる? 彼女は? 銃刀法違反で逮捕? それとも国民名誉賞授賞? それは大袈裟か。 じゃああの化け物は? 警察が退治する? まさか、そんなことはないだろう。 退治出来なかったら? 集まった人を襲う? そしたらどうなる? みんな死んじゃう? 私も少女もあなたも君も彼も彼女も。 一緒に、一緒、仲良く、皆で、サヨナラ、バイバイ、ジ・エンド。 イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ。 恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い。 走ることに必死で、こんな感情忘れてた。 死にたくない死にたくない死にたくない。 「助けて!」 「オーケー、わたくし幸せウサギこと萩ちゃんがあなたを助けてあげる! それじゃーお休み、良い夢を」 私の意識は深い闇の中に沈んだ。
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