初恋のち自覚 そして失恋

1/7
前へ
/122ページ
次へ

初恋のち自覚 そして失恋

 俺、菅生優【スゴウユウ】は今日、双子の姉である茜【アカネ】と大喧嘩をし、家を飛び出した。  理由は、三時間前のこと。  中学校の卒業式が終わった後でのことだった。  俺と茜は二卵性双生児の異性の双子であり、顔も余り似ていない。  茜は父親似。  俺は母親似だ。  それは問題ない。  問題ないはずだったのだ。  あの時までは――――。  卒業式も終わり、三年間所属していたサッカー部の後輩達からの卒業祝いパーティーという名の追い出し会を終えて帰ろうとした俺に、ある男子学生が声を掛けてきたのだ。  名前は仁藤一哉【ニトウカズヤ】。  元生徒会長で、茜の彼氏だ。  茜は生徒会に所属しており、生徒会副会長だった。  仁藤は生徒会長で、先生からは『ゴールデンコンビ』とまで称されていた。  実は二人。  生徒会選挙が始まる前から付き合っており、家にも何度か連れて遊びに来ていた。  年齢的にはまだ幼いということで、手を握るまでは許さない!と俺の両親からきつく言われていたので、一応清い関係らしい。  茜曰く『大人の恋愛は高校からよ。』と言っていたが、俺からすれば怪しい。  まあ、生徒会の役員になってからも二人はいいコンビで生徒会業務をこなしており、先生や生徒からの信頼は凄く厚かった。  二人は高校に進学しても付き合うのだろうと思っていたのだ。  あの出来事が起きるまでは。  三年になり、受験で忙しくなったせいか、仁藤が遊びに来ることは少なかった。  元々、俺と茜は両親の希望で私立翠嵐学園に進学することが決まっていたので、滑り止めの学校やら、第一志望やらとかはなく、スムーズに受験を乗り越えられた。  まあ、俺も成績は悪い方じゃないが、担任からは『一学期の成績で決まるぞ!』と脅されていた。  合格するか否か、かなりプレッシャーだったが、部活で良い成績を収めていたので、ギリギリセーフだった。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

944人が本棚に入れています
本棚に追加