初恋のち自覚 そして失恋

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 茜も生徒会での実績と、元々成績が良かったので、すんなりと合格した。 (仁藤も翠嵐学園を受験するのかな?)  そう思っていた俺だったが、違っていた。  仁藤は公立高校に進学したのである。  これには驚いたが、茜がいうには前々から公立高校に進学すると決めていたらしい。  一応、卒業してからも付き合っていくつもりだといっていたのだが、卒業式までの間に茜から仁藤の話は全く出てこなかった。  どうやら受験のせいで疎遠になっているらしい。  それでも俺は余り気にも留めずに卒業までの間、友達と毎日のように遊んで過ごしていた。  後で律兄貴が翠嵐学園の卒業生だと知ったので、色々と話を聞いては教えてもらった。  生徒会室には簡易式だがバスルームがあり、泊まることができるという話。  三年に一回は二つ隣の駅にある県立松蔭高等学校との合同学園祭がある話。  クリスマス会や予餞会では、演劇部や在校生が催し物を開く話など、どれを聞いても興味がわく話ばかりだ。  茜も一緒に話を聞いていたが、俺よりは余り興味を持っていなかった。  たまたま遊びに来ていた律兄貴の友達で、同居人もある和臣【カズオミ】さんや、叔母である麻衣【マイ】さんからも、合同学園祭や予餞会の話は聞いていた。  和臣さんは律兄貴と同い年だが、高校は違う。  麻衣さんと和臣さんは同じ学校で、同じ生徒会に所属していたそうだ。  何故、学校が違う律兄貴と和臣さんが友達なのかは、合同学園祭がきっかけだそうだ。  何でも、律兄貴も生徒会の役員で、合同学園祭に関わっていた。  そこで二人は知り合い、意気投合して仲良くなったらしい。  麻衣さんがいうには、出会った当初は犬猿の仲で、しょっちゅう喧嘩ばかりしていたそうだ。  確かに、遊びに来てもよく喧嘩していた気がする。  それでも一緒に住んでいるのだから、かなり仲がいいのだろう。  なんだか、いつの間にか俺の中で律兄貴と和臣さんの関係が羨ましく思えてきた。
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