初恋のち自覚 そして失恋

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(携帯で誰かと喋っているのかな?)  悪いと思いながら聞き耳を立ててみると、違うらしい。  話し声というよりは、喘ぎ声っぽい。 (もしかして!!HなDVDでも見ているのか?)  考えてみれば、律兄貴も和臣さんも、麻衣さんと同い年だ。  俺たちと十五歳離れているから、今年で三十歳。  未だに彼女も作らないで、親友の和臣さんと同居しているなんて驚きだ。  麻衣さんは彼氏がいながら結婚はしていない。  母さんからは『いい加減、結婚したら?』と言われているが、麻衣さんは『まだ結婚する気はない。』と言い張っている。  まあ、麻衣さんがお母さんになるっていうのは、全く想像できないけど。  男と同居しているのだから、生理現象はどうしているんだろうと思ったことは多々ある。  これぞ、思春期の男子学生が抱くものだ。  俺は、貴重な映像が見られるのかな?とお子様な期待を膨らませながら、気付かれないようにドアをゆっくりと開けた。  その瞬間、俺の視界に入って来たのは――――――。 「バカ!そこばっか触るなよ!」 「いいじゃん。ここが、カズの一番感じるところだろ?」  俺は言葉を失い、頭が真っ白になった。 ドアの隙間から見た光景が何と!!!!   ベッドの上で、裸になっている律兄貴が、同じく裸になっている和臣さんの上に乗っているのだ。  そしてキスをしながら、ドラマや雑誌やHなDVDでやっていることをしているのだ。  ショックで、俺は石のように固まっている。  そんな俺を無視して、二人の行為はどんどんと先へと進んでいく。  いつも笑顔で俺を可愛がってくれた和臣さんが、今では全くの別人だ。  律兄貴のキスや愛撫によって、顔を赤くしながらHなDVDに出てくる女優さんのように声を上げている。  律兄貴も肌を赤く染めながら、和臣さんを宝物のように扱っている。  衝撃の光景だった。  俺は気まずくなってしまい、ゆっくりとドアを閉めた。  そして気付かれないように、律兄貴の部屋を後にしたのであった。
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