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第一章 天使
我々の住む次元とはかけ離れすぎた世界、そこにある間接民主制の国家、ガレナム国。その東の喉かな田舎町、ソグリネ。そこへ数日前から青い髪に触角のような髪型。尖った耳。不自然に曲がる関節を持つ、背の高い少年が現れた。彼はアザエルと名乗るが、ここが何処か分からないらしい。が、かなり図々しい性格なので、勝手に家をたてて、住み着いてしまった。 ところでこの男、普段から町中をうろついては、様々な場所で絵を描いているのだが、どういうわけか不気味な絵ばかり描いている。何を描いているのか分からないので尋ねると、
「天使だ、わからないのか?」
と、奇怪な発言をするのであった。
そんなある日、いつものように不気味な絵を描いていると、彼の前に12枚の翼を持った青年が現れたのである。
「誰だあんた?」
マイペースなアザエルはのほほんと尋ねた。
「忘れてしまったのですか?我らがグリゴリの王よ。今こそ我らを見捨てた神を倒すチャンスだというのに。まあいいでしょう。思い出すまで、天使の軍勢が貴方を殺しに来るでしょう。これをお持ちください。」
青年はアザエルの右腕に黒い腕輪を着けた。
「なんだこれは!?外れない!」
「落ち着いてください。その腕輪は貴方の剣となるものです。念じればそれが出てきます。自らの身は自らの力で守ってください。」
そう言うと、青年は去っていった。しばらくは絵を描き続けたが、ものすごい爆音が聞こえたので、そちらへ向かうと、先ほどの青年が町を火の海にしていたのだった。
そこにいた一人の少年を、アザエルは覆い被さるように守った。
「なぜ守るのです?彼らは神の子、我らの敵。いかしてはおけません。」
青年は表情を変えずに言った。
「助けないと、後味が悪い。」
「変わりましたね。いいでしょう。今日は手を引きます。ですが、また貴方を連れ戻しに来ますよ?準備をお忘れなく。」
青年は去っていった。
「ありがとうございます。」
助けた少年がこちらを見ている。
「あんた、名前は?」
「ハルベルトです。」
「そうか、行くぞ。」
そう言うとアザエルは、ハルベルトの手を強引に引っ張った。
「行くって、何処へ?」
「決まってるだろ?あの翼の男を倒す為の旅にだ。なんだか知らんが町を吹き飛ばされて黙ってられるか!」
「なんで僕まで………。」
こうして、アザエルの旅は始まった。
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