第四章 蒼い飛蝗

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 腕輪からグレイブを出すアザエル。 「さて、まずは自己紹介とするか、俺はアザエル。あんたは?」 怒鳴り散らしていた男は答えた。 「俺はロクシート、またの名を、ホッパー………」 男はそう言うと、一瞬にして空高く飛び上がり、そのままアザエル目掛けて落っこちてきた。 「いたってシンプルな戦法だな、それゆえにバランスよく戦える。さて、こっちもいくか!」 グレイブを振り回し、ロクシートに攻撃しようとするが、高く飛び上がっては落ちを繰り返すのでなかなか当たらない。 「キッ!ちょっとは手加減したらどうだ?」 イライラしてきたアザエルが言った。 「先に仕掛けたのは君だ。手加減する理由はない。」 ロクシートはそう言ってまた飛び上がった。  一方、まだ食事中のネフィリムと、普段から影が薄いせいか登場の少ないハルベルトの二人。 「アザエルさん、大丈夫かな?」 心配そうに言うハルベルト。 「大丈夫ですよ。アザエルさんは強いですから。」 能天気に言うネフィリム。 戦闘中の二人は、なかなか進展のない戦いをしていたが、ロクシートに動きがあった。 「そろそろ終わらせてもらうよ。」 そう言うとロクシートは飛び上がり、アザエル目掛けて飛び蹴りをしてきた。しかしその時、アザエルに変化が起きた。 「………。」 アザエルは先ほどとは全く違う表情をしていた。そこには明らかなる恐怖があった。なんとアザエルは、ロクシートの足にグレイブを突き立て、弾き返してしまったのだ。そして、その足にかじりつき、股肉を呑み込んだ。 「さすがは、あのお方の将となるべき者。全てを喰いつくす虫。その力、計り知れないな。今日は退くとしよう。」 ロクシートは何処かへ逃げていった。
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