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旅に出た二人は、森の中に来ていた。食料などは村の残骸から拾い集めてきた。
「ところで、何処へ行くんですか?」
ハルベルトが言った。
「王都へ行く。情報が集まってくるだろうからな。」
素っ気なく答えるアザエル。
「腹減った。あんた先に食ってろ。俺は自分で探してくる。その量だと近くの村までもたない。」
そう。翼の男の攻撃で、食物はほとんど燃えてしまったのである。ちなみに生存者はこの二人のみである。
「探すって何を?この辺りは、食べられる動物はいませんよ?」
ハルベルトは言った。
「バーカ、毒がなくて、衛生的問題が無かったら、何でも食えんだよ!」
アザエルは信じられないことを言った。
「シロアリですか?」
森の中をうろつくアザエルは、不自然な太さの竹を見つけた。ちょうどにんげんほどである。
「ちょうどいい、翼の男が言ってた剣とやらも試してみるか!」」
そう言うと、腕輪からグレイブが出てきた。アザエルはそれを勢いよく振り、竹を切った。
「一丁上がり!こりゃ歯ごたえが良さそうだな。」
はしゃいでいると、竹の中から一人の少女が見つめていた。身体を布一枚で隠している。「アザエルさん。やっと会えた。探していましたよ?」
そう言うと、突然アザエルに抱きついた。い。
「ちょっと待て!あんたは誰だ?」
「誰って、忘れちゃったんですか?酷いなぁ、私はネフィリムですよ!?あなたの……あれ!?」
アザエルの質問に答えていた少女だが、途中で止めた。
「あれ?待ってください。あなたはアザエルさんですよね?」
「いかにも俺がアザエルだが、一体どうした?」
当然の質問に当然の回答をする。
「思い出せない!私が誰で、あなたが誰か、大切なことのはずなのに…。」
少女は、勝手に盛り上がり、混乱している。
「まぁいい、今はその恰好なんとかしろ!」
「え?」
少女は、この時初めて自分の服装に気がついた。
「いやぁああ!」
森に叫び声が走った。
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