第二章 なよたけのネフィリム

3/3
前へ
/78ページ
次へ
 アザエルは、ネフィリムと名乗った少女を連れて、テントに戻ってきた。ハルベルトは既に寝ていた。 「ほら、これを着ろ。」 アザエルは、なぜか持ってきた女物の服をネフィリムに渡した。 「どうも。」 「話を整理しよう。あんたはネフィリムで、俺のことを知ってる。で、記憶喪失。」 「はい…。」 アザエルは続けてこんなことを言った。 「その腕輪は?」 「わかりません。でも、ここから頭に使い方が流れ込んでくる感じがします。」 少女は答えた。 「最後の質問。翼を持った男を知らないか?」 「ぼんやりですが、翼を持った青年が、黒い怪物と共に、人を殺していく記憶があります。」 ネフィリムはだいたいこんなことを言った。 「要するに、連中は俺の敵だな、倒す方法を探すぞ。ネフィリム、あんたも来い!」 アザエルは唐突に凄いことを言った。 「いいんですか?」 「ここでのたれ死ぬより良いだろう?」 「はい。よろしくお願いします。あら?」 ネフィリムはアザエルのスケッチブックを見つけた。 「あんたも化け物とか言うのか!?」 威圧的な口調で、アザエルは言った。 「なんでそんなことを!?素晴らしい天使の絵じゃないですか。」 普通は分からないものを、ネフィリムは何故か理解できるた。 「そうか!?お前はこれをわかってくれるのか!?」 「勿論ですよ。」 アザエルは、おそらくこの瞬間ほど、喜んだことは無いだろう。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加