* 愛 逢 傘 *

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中学校に飽きてきた二年生の夏。 過ぎた夏休みは戻らない。 もうすぐ梅雨は終わる。 不思議とため息しかでなかった。 「暑すぎだ…こりゃ……」 朝の教室につけば、顔を伏せて寝るのが、この俺、特に目立つことのない、朝は低血圧な【宮嶋(ミヤジマ) 修(シュウ)】の日課だ。 そして……。 「やっほーっ!おはようさーんっ!って、いきなり死ンデルラっ!?」 「朝からうっせぇ……」 ひたすらハイテンションなこいつが、【城下(シロシタ) 由花(ユカ)】。 俺によく連んでくる仲のいい女子で、そんでもって……なぜか好きになってしまった相手だ。 はぁ、どこで間違えちまったんだ、俺は。 「ファイトぉ!いっぱぁつっ!ほらほらっ!」 いや、俺は、何も間違えていない、俺はな。
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