* 愛 逢 傘 *

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「あ、傘がねぇし」 無論、放課後である。 昇降口で立ち尽くす、無惨な俺。 ふと、『俺、富士山。お前、無惨』というキャッチフレーズが頭を過ぎった。 由花のキャラが、すっかり伝染しているらしい。 そんなときだった。 「修じゃんっ。どうしたの?」 由花が現れた。 もういっそ逃げたい。 「別に」 「はぁぁあ…」と深くため息をついた。 すると、由花が嬉しそうに口を開いた。 「あっ、わかった!傘忘れたんだー!!」 「わりぃかよ」 クイズ番組じゃないんだから、「はい正解っ!ピポピポピポーン!」とはならない。 ふと由花を見ると、傘を差し出していた。 「じゃあ、しょうがないっ!お姉ちゃんが貸してあげようっ!!」 THIS IS ピンクッ!! 嬉しいけど嬉しくない。 「い…いや、いい。その傘使ってさっさと帰れ」 いつもそうだ。 俺は嘘つきで、嬉しくても「嫌だ」と言う。 こいつの前だと、自分が嫌いになる。 「じゃあさ…一緒に帰ろ?」 急に大人しくなった声で、由花は突然そう言った。
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