* 愛 逢 傘 *

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「いや、だから一人で帰れって……」 ふと見ると、由花の顔が赤くなっていることに気づいた。 雨の地面を静かに叩く音が、近くで聞こえる。 鼓動が早くなる。 こいつも怖かったのかもしれない。 いつも馬鹿みたいに俺の近くで笑いながら、背中の後ろで手を震わせてたのかもしれない。 その震えた手を、由花は今、俺に差し伸べている。 俺らって、マジ不器用だったのな。
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