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今、こいつ何て言った?
大体、何で俺なんだよ。
何でお前なんだよ。
よりにもよって。
変わってるとは思ってたけど、本当にイカレテるよこいつ。
アリエナイアリエナイ。
だって、まだ中学生だぜ?
殺人なんてしてさ、少年院送りとか笑えねえよ。
いや、…相手から頼まれた場合はいいんだっけか。
確か救済殺人とかいう。
でもさぁ。
何か精神的に嫌じゃん?
殺人なんてさぁ
「春夏秋冬くん」
「…」
真空の中にいるような感覚。 自分の呼吸を感じない。感じられない。
喉の奥から、苦しい。
「どうかしましたか」
しれっとした顔で、俺を覗き込む己己己己。いつもだったら赤面して心臓が破裂しそうになるハズなのに、
…。何故だろうか?
他人に見える。
「いや、驚いてるだけ。己己己己と話すのだって初めてなのにさ、いきなり話題が斬新だったから…な」
舌が凍って動かない。
「それもそうですね」
「で?いいい、意味がいまいちよく分からねえんだけど」
腰まで届く長い髪を心地よく揺らし、彼女はまたブランコに座った。錆びた金具が軋む。
上目使いで俺を見る瞳に、光は無かった。冷ややかな敬語で、はっきりと俺を拒絶している。
「わからない、ですか」
喉からかすれた声が出る。
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