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この少女は藍崎遥(あいさきはるか)、俺と4つ違いの妹だ。
「朝っぱらって……今、何時だと思ってるの!早く起きないと遅刻だよ!」
遥は腰に両手を当てたまま、俺の耳元で叫んだ。
「あのな、思春期の少年にとっては睡眠は命の次に大事なんだ。授業で習わなかったか?というわけであと5分だけ……」
俺は再び目を閉じると眠りの世界に戻ろうとした。
その時、遥はどこからともなく、フライパンとおたまを取り出した。
そして………
「起きろぉぉぉぉ!!」
激しい叫び声と共に金属音のオーケストラが辺りにこだました。
こいつ!いつの間にこんな古典的な技を!!
「わかった!起きる!起きるよ!!」
俺は仕方なく布団から飛び起きた。
「早く着替えた方がいいよ。いきなり遅刻はカッコ悪いよ」
そう言い残すと遥は俺の部屋を後にした。
「まったく……」
朝の至福のひとときを邪魔された俺は仕方なくベッドから降りると、枕元に置かれていた目覚まし時計を手に取った。
「…………」
その瞬間、時は止まった……
「なにぃぃぃぃ!!」
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