雨の日、出逢い。

15/50
前へ
/51ページ
次へ
「…な、なんだよ!何か用かよ。」 シンが少し怯えながら威嚇する。 そのシンをキッ、と睨みつけると、シンは小さく悲鳴を上げて小さくなってしまった。 そんなやり取りを怪訝そうな顔で見る教授。 「…席なら、そこ、空いてるぞ。」 「…ええ、ご親切にどうも。」 「でも、講義を受けに来た訳じゃないわ。」と少女は微笑んでみせた。 「…じゃあ、何しに来たんだよ」 と、少し警戒しながら少女に問う。 そんな俺の様子を見て、 「そんなに警戒しなくても大丈夫よ?別に、取って食おうなんて思っていないわよ」 「…ただ、アナタに会いに来ただけなの。」 「……」 俺が、次にどう出ようかと考えていると、少女が急に俺の腕を掴んで、教室から俺の事を連れ出したのだった。 「ちょっ…ちょっと待て!どこに連れてく気だよ!てか、俺は講義を受けてんだよ!」 「あら、そうだったの?…クスクス…講義中に遊んでいるものだから、てっきり、間違えて座っているのかと思ってしまったわ。」 「う…」 言い返せない…。 「そ、それでも俺は受けてたんです!」 「…クスクス…何をムキになっているの?」 「べ、別にムキになんてなってなんか…」 「クスクス…」 …なんなんだよ、コイツ…。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1394人が本棚に入れています
本棚に追加