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教室から、拉致されて10分程経った位だろうか、少女が、不意に立ち止まった。
「…今度はなんだ?」
「…アナタ、ヤマザキノボルよね?」
「…そうだったら?」
「…そうなのね?」
今度は先ほどよりも低く、鋭い声だった。
「…そうだよ。だったらどうだって言うんだよ」
少女に向かってぶっきらぼうに言う。
「…私、アナタの家に用があるの。」
少女は真っ直ぐな目で、俺にそう言った。
「…は?」
「…だから、連れてって。」
少女はそう言って、掴んでいた俺の腕を引っ張り歩き出そうとしたが、
「…いや、待て。」
当然、俺はそれを阻止する様に腕を振り切る。
少女から少しだけ距離をとる。
少女は不機嫌そうな顔しながら振り返り、こちらをじっと見つめる。
「…何?」
「いや、何じゃねえよ。…お前、自分が言ってる事を客観的に聞いてみ?訳分んねえこと言ってるから。」
「…訳分かるわよ。」
「いや、分かんねえって。…第一、俺はお前と今日初めて会ったんだぞ?」
「アナタはそう思っているようね。」
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