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「…だって、まだ2時前だよ?最低でも、あと3時間は待たないと…」
「待つ。」
…そう言われましても…。
困り果てた俺は考えるのをやめ、この子の言うとおりにする事にした。
「…ハァ。じゃあ、終わるまでどっかで時間潰してて?」
「…それじゃ、食堂に居るわ。」
「分かったよ。それと、君の名前を教えてもらってもいいかい?」
少女にそう言うと、
「私の名前…何に使うの?」と、不思議な事を聞いてきた。
俺は普通の質問をしたつもりだったんだけど、なんか、変だったかな?
そう思い、少し違う言い方でその質問に答える。
「…君の事をどう読んだらいいか分からないから、名前を教えてくれないか?」
「……疾しい事に使ったり…」
「しない。」
「…変なあだ名は?」
「…それは名前によるかな」
「…エッチ。」
「どうしてそうなる。」
「クスクス…言ってみただけよ」
クスクスと妖しい笑みを浮かべる少女。その笑みに、少し魅せられた自分が居たが、その感情をかき消し、質問を続ける。
「…それで、君の名前は?」
「…メリー」
「メリー?」
「そうよ」と、軽くうなずく。
「じゃあ、メリーちゃん。講義終わったらすぐ行くから、食堂に居てね?」
「クス…分かったわ」
そう言って少女は俺に背を向けて食堂の方に歩き出した。
「―…いやぁ、急に教室出てくんだもんなー、ビックリしたわw」
「いや、俺もビックリしたんだよ。急に、腕掴まれて拉致られたんだからさ」
「でも、ちゃんと次の講義には出れたし良いんじゃね?w」
「まぁ…。」
でも、まだ問題は解決したわけじゃないんだよなぁ…。
なんて思いながら、もうすでに、半分埋まっている教室を眺めていた。
それから、あっという間に今日の講義は全て終了し、約束の時間がきた。
俺は、多分待っているであろう少女を迎えに行こうとしていた。
「ようやく終わった…さて、帰りますか、とはいかないんだよな。」
はぁ…なんでこんな事になってんだよ…。
「てか、あの子ホントに食堂に居んの?」
「何、ブツブツ言ってんだ?お前」
「…お前にゃ分かんねえ悩みだよ、シン…」
「ふーん」
と、鼻を鳴らすシン。
それから、自分の荷物を持ち、「んじゃ、先に帰ってるわ。」とだけ言い残し、教室から去っていく。
…俺も、早く迎えに行こう。
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