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「…ハァ…ハァ……これだけ遠ければ、大丈夫だろ…」
二駅隣の町のごみ置き場まで人形を捨てに来た。
もう、太陽は沈み、辺りには夜が立ち込めていた。その中、俺は息を整えながら人形をゆっくりと、ゴミ置き場に置いてある洗濯機の上に置き、その場を後にした。
大丈夫、きっと大丈夫………。そう自分に言い聞かせながら自宅へと歩みを進めた。
「…はぁ。」
自宅のソファに座り、帰ってきてすぐ淹れたコーヒーを一口飲み、ため息を吐いた。
「…なんで、あんなに怖かったんだろう…あの人形。」
不自然なくらい綺麗で、だけど、その美しさの中に何処か、恐怖を隠していた。その恐怖は、とても残酷で、凄惨で、そして、とても悲しいモノが隠されていた。
なんで分かるのか、って聞かれたら、なんとなくとしか答えられないんだけど、それでもあの人形には、そういうのがあった、と言えるんだ。
「……とりあえず、疲れたから寝よ。」
俺はベッドに倒れこむ様にして眠りに就いた。
朝。
カーテンから漏れる朝日で目を覚ました。昨日、日頃運動なんてしない奴が急に激しい運動をしたせいだろう、全身を軋むような痛みが襲ってきた。
その痛みで完全に目を覚ましてしまった昇は、枕元の目覚まし時計を八つ当たりでもするように取り、時間を確認する。
9:50。
時間的には二度寝をしてもお釣りがくる位の時間だった。
が、何分、身体中が痛い。動くのも億劫になるくらい痛い。そんな状態だ、さてどうしたものか、と考えていると、不意に携帯の着信音が鳴り響いた。
そういや、昨日鞄に入れたまんまで寝たんだっけ…。
ノソノソとベッドから這い出て、鞄を漁り携帯を取り出す。
……着信23件。
マジかよ。
23件はないだろ…。
そんな事を思っていると、留守番電話になにやら伝言が…。
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