「ローマ人への二十の質問」塩野七生

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このことに対して、「ローマ人は小 麦を無料で配布してもらっている ので働く必要が無く、見せ物を無 料で楽しみ、またそのせいで属民 は苦しい生活を強いられていた。」 と、参考書などに書いてあるよう な簡潔な文章でしか知らなかった 。しかし、実際にはこの本に書い てあるように「小麦をもらえる人 々の人数にはある程度の限りがあ り、小麦をもらえたとしてもその 小麦の量はとても少なく、それだ けで生きていけると言える量では とてもなかった。そして、見せ物 とはいつでもやっているという訳 でもなく、アウグストゥスの四十 四年の治世の中でもおよそ五十回 程度であった。また、パンには社 会福祉、見せ物には皇帝に対する 世論調査というそれぞれには目的 があった。」という事実があり、僕 が理解できていると感じていたの は、その事物のほんの一片にすぎ なかったのである。  そして、三つ目は、なぜローマ は滅亡したのかということである 。ローマ人は経済面で
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