「羅生門」芥川龍之介

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 「羅生門」は境界を越えた瞬間 の人間のうしろ姿を切り取った物 語だと思う。芥川龍之介が描いた のは、飢え死にするべきかどうか や、善悪の区別、人間の理想とい うだけでなく、人の生死という現 実なのだと思う。最初の頃の下人 は主人に暇を出され、途方に暮れ て、明日の暮らしをどうするかを 考えていた。しかし、生きるため には盗人になるしかないとわかっ ていても、決心をつけられずにい た。つまり「悪の世界に」飛び込 めずにいたのだ。そのとき、老婆 と出会い、彼女の「生きるために は悪いことをしても許される。」 という言葉を聞き下人の心には、 ある決心がつく。それは、正義心 ではなく、その正反対である、悪 になることだった。僕はこの物語 を通して、生と死の境界にたった 人間の気持ちの変化を目の前で見 たように思い、また、その下人の 考えは自分にとって、とても悲し いものだった。しかし、下人の立 場にもし自分がなっても同じよう にしたと思う。それほど、人間の 心理は普段とは別の次元を体験し たときに、とてももろいのだと感 じた。
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