「ローマ人への二十の質問」塩野七生

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 僕はこの本を読んで、自分が今 までローマに対して抱いていた、 またこの本を読むことによって生 まれた疑問の解決への道しるべを 作ってもらったように感じた。  僕がこの本を読む前から思って いた疑問の一つ目は、ローマの平 和(パクス・ロマーナ)とは何で あったか、ということである。僕 は今までその言葉の意味を「当時 のローマの人々は誰もが平和を望 んでいた。」などというように抽象 的にしか考えていなかった。しか し、作者はおおかたこのように説 いている。「平和は誰もが望んで いると思っているだろうが、誰も が望んでいるならば戦争は起こら ない。また、ローマは防衛に適し た地域までの制覇は完了したので 、以後は平和を国家政策とした。」 このように、ローマの平和とは、 国の外部からの攻撃よりも内部か らの崩壊を防いでいた時代なのだ と知った。  二つ目の疑問は、パンとサーカ ス(見せ物)とは何であったのか ということだ。僕は、
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