「ローマ人への二十の質問」塩野七生

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も軍事面でも栄華をほこっていた はずなのに何故崩壊したのか。こ の質問に対し、筆者は『ローマ帝 国衰亡史』の著者のエドワード・ ギボンの言葉を借りて次のように 言っている。「ローマの衰退は、並 はずれて偉大な文明のたどり着く 先として、ごく自然で不可避な結 果であった。(中略)……ゆえに 人工によるこの大建造物をささえ ていた各部分が、時代か状況かに よってゆらぎはじめるや、見事な 大建築は、自らの重量によって崩 壊したのである。ローマの滅亡は 、それゆえに、単純な要因によっ てであり、不可避であったのだ。 だから、なぜあれほども長期にわ たって存続できたのかについて問 うべきなのである。」と。つまり 、栄華の頂点まで登りつめたロー マにとって残っていた道は滅亡ま で下降していくことしかなかった ということである。また、筆者は 次のようにも言っている。「ローマ 滅亡の要因は、それを口にする歴 史家の数ほどある、といわ
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