プロローグ

2/11
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
『生きていくのに疲れました。 自殺なんて、卑怯な逃げ道かもしれないけど、 どうかわかってください。 先立つ不幸をお許しください。』  ――― 何時間もかかって考えた遺書は、割と簡単な文面になった。  死んでから見られる最後の手紙だから、もっと長々と書いてもいいかなとも思ったが、それではかえって気持ちが伝わらないかもしれない。  そうだ。  物事は端的に、且つ的確に相手に伝えなくてはならない。  その証拠に、校長先生の話をまる覚えしている人はあまりいないではないか。  …勝手な理屈で、自分にこれでいいのだと納得させた。  出来上がったばかりの遺書をパソコンから印刷すると、封筒に入れる。  …そのままこっそり家を出る。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!