プロローグ

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――― 1時間ほど経っただろうか、目的地に近付いて来た。  自殺の場所を自宅から遠ざけたのは、発見者が赤の他人であってほしいからである。  自分の家族、知り合い、…ましてや友達なんかが発見したら、その光景は一生頭に焼き付いて離れなくなるだろう。 …まぁ赤の他人にとっても忘れられない光景となるかもしれないが…。  とにかく、その赤の他人の為にも、美しく(?)落ちなければならない。  やっと目的の廃ビルに着いた。さすがに少し汗ばむ。しかしまだ運動は終わっていない。これからこのビルの階段を上がって最上階まで行かなければならない。  階段を上がろうとした時、ふと遺書の事が気になった。 ――― ちゃんと名前書いたっけ…? そう思って、遺書を取り出そうとした時だった。
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