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「きゃあああああ―――っ!!」
廃ビルの近くには川が流れており、長い土手が続いていた。その方向から、若い女性の叫び声が聞こえたのである。
…しかしこの辺りは本当に人気が少なく、たとえどんなに叫んでも誰も飛び出してくるはずがなかった。
…思ったとおり、まだ0時も過ぎていないのに誰も飛び出してくる気配はない。
――― つまり助けてあげられるのは、ここにいる自分しかいないのだ。
しかし、腰が抜けてとても走っていける状態じゃなかった。何か恐怖に直面したような叫び声だった。
…それでも何とか勇気を振り絞り、廃ビルの陰からその方向を覗いてみる。
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