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「なあ、お前、いっつも何読んでんの?」
クラスの中でも特にチャラそうな奴が、斎藤にそう話し掛けている。俺はそれを横目で気にしつつも、仲間との会話を続けていた。
「…問題集。」
「へぇー、頭良いんだっけ、斎藤くんって。」
「別に、良くないよ。」
チャラ男はまさか答えてくれると思っていなかったんだろう、少しだけ意外そうにしながらも斎藤と会話をしている。
「でもさ、この間のテスト、学年一位でしょ?全部100点だった、とかって聞いたんだけど。」
「あんなの、まぐれだろうし。お前だってちゃんと勉強すれば取れるんじゃないかな。」
「マジ?じゃあさ、今度俺に勉強教えてよ、斎藤くんに教えてもらったら、俺でも一位になれそうだもん。」
「別にいいけど…」
ガタン。
椅子から勢いよく立ち上がる。思ったよりも音が響いて、クラスの大半が俺を見た。
「…わり、ちょっと便所行ってくるわ。」
そう言って、俺は教室から出て行く。
何故か無性に苛々して、一度だけ、壁を殴った。
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