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屋上にいた。生まれて初めてのさぼりをするために。
でも、そこには先客。
赤茶の髪に、整った容姿。同じクラスで、めったに来ない、長谷部。下の名前は忘れた。
「…こいつ、何してんだ。」
俺は半分立ち尽くしたように、寝転がっている長谷部を見つめていた。
どうやら寝ているらしく、俺の疑問には答えてもらえなかった。
ふと、思う。こいつをちゃんと見るのは初めてだ、と。
校内にはファンクラブのようなものもあると聞くし、かっこいいんだろうとは思っていたけれど…ちょっと、驚いた。かっこよすぎたから。
鼻は高いし肌は綺麗だし睫毛は長いし。見ていて、飽きない。
「…ん、……」
俺が見すぎていたからだろうか、長谷部は少し身動ぎした。起こしてしまうかもしれない。俺は静かにその場を離れた。
その日から、学校生活が少しだけ楽しみになった。
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