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小学校の頃。『靴飛ばし』が流行ってた。
小学校の校庭で、スタートラインを引いて其処から出ないように助走を付け
て靴を飛ばす。
勿論、遠くまで飛ばしたほうが勝ち。
色んな技をあみ出したりして、友達と競い合ったものだ。
でも、アイツはジッと見てるだけだったんだ。
『井上 冬矢』(いのうえ とうや)
生まれたときから足が不自由で、車椅子に乗っている同級生だ。
冬矢の視線は気付いていた。でも、あの時のオレは冬矢に何もしてやれなか
った。
冬矢は――寂しそうだった。
学校が休みのときでも靴飛ばしをしていた俺達は冬矢を仲間に入れることが
出来なかった。
仲が悪いわけでは決してない。ただ――流行ってしまった遊びが冬矢に出来ないだけ。
今思えば、違う遊びで冬矢を誘えばよかったのに、あの時のオレにはそんな
こと考え付くこともなかったんだな。
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