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「オレのがある!!」
オレは絶対に冬矢にやらせたかった。飛ばして欲しかったんだ。靴を――。
「オレのは特別製だぜ。なんせクラスでトップ3に入ったスニーカーだから
な。これを貸してやるっ!さぁ――」
冬矢の肩を持ち、ゆっくりゆっくりとブランコへと誘う。
「ううううううううううっっ!!」
以外に冬矢の身体は重く、ブランコに乗せるのに非常に苦労した。
「ゴメン。重くって――」
「平気だ!!さぁ~やろう!!ブランコ押すぜ!!」
「うん!!」
冬矢の笑顔を久しぶりに見た気がする。
――押せ、押せ。遠くまで。遠くまで冬矢が飛ばせるように!
「凄い!!ブランコって初めて乗ったよ!!」
「冬矢!!!自分がイケると思ったところで思いっきり足を振れ!!」
「うん!!!」
風を切る冬矢。弾む声。オレも嬉しくなってきた。
「いっくぞ~~!!!」
「いっけ~~!!」
振り出された足から飛び出すスニーカー。スニーカーは華麗に宙を舞い、青い空へと吸い込まれていった。何処までも遠くへ――。
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