第三話・―絆―

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「“それ”がお前の未来だ。だから私が“今”、手を下す事はない」  残酷なまでに冷たく頭上から言い放つ様はまさに暴君そのもので、一般的には正義を司ると言われている“蒼”の一族の持つカリスマ性としては、不適切のように思える。  だが、ディニテはどのような状況であろうが決して間違った方向に、己が持つ強大な力を使ったりはしていない。  どんなに不遜に見えようが常に正しく、誰もがつけ入る隙もないくらいまっとうに在り続けているのだ。 「……相変わらず悪趣味だな、あんた……」  息も絶え絶えといった感じで返す“昏きもの”に、鼻で嘲笑うディニテが挑発に乗る訳もなかった。  それどころかゆっくりとした足取りで近付くと頭を鷲掴み、耳元で囁くように返す。 「失せろ。餓鬼が。言っておいてやるが、お前の視た未来はどう足掻いたところで“変えられん”ぞ。せいぜい恐怖の日々を過ごしておくのだな」  そうして乱暴に、頭を床に叩きつけるように手を放す。
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