第四章・―“罪”は重く―

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 教会の煙突から流れる煙を仰ぎ見たオフィーリアは、往来の真ん中で小さく息を吐いた。  ブラックの上下に白いシャツ、そしてブラックのネクタイを着用している姿はなかなか様になっている。  青空の下静かに流れる時間は、前日までの出来事が嘘のような穏やかさで流れている、そんな風に思うオフィーリアに声をかける者がいた。 「本当に行かないのか?」  振り向くと、同じように黒いスーツを身にまとったシェイカーが立っていて、心配そうな表情で様子を窺っている。 「阿呆吐かせ。張本人が行ける訳あらへんやろ。ええから、俺に遠慮せんと。俺の代わりに……。否、自分はちゃんと、お別れ言うてきたらええわ」  対するオフィーリアは笑みを浮かべていて、それが更にシェイカーの表情を曇らせる。  だが、何を言えば良いのかが分からないらしく、言葉を詰まらせたまま視線を逸らしてしまった。 「その……。伝えたい事は、本当にないのか?」  低い声で問いかけるシェイカーに、傍へと歩み寄ったオフィーリアは、元気付けるようにその肩に手を置く。
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