第四章・―“罪”は重く―

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「俺はええよ。まだやらなあかん事もあるし。もう少しだけここで見たら、行くわ」 「分かった。じゃあ、俺はもう行くよ」  シェイカーも肩に置かれたオフィーリアの手に手を重ねると、逸らしていた視線を戻し、精一杯の笑みを見せて返す。  オフィーリアはそんなシェイカーに頷いて見せると、早く行けと仕草で急かし、立ち去る背中をいつまでも見詰めていた。  やがて姿が見えなくなると、もう一度だけ青空を仰いで反対方向へと歩き出す。  ヴァイス署陰契課へと一直線に、マリアの葬儀には代表格としてレイナスが赴いていて、同じく足を運んでいたジョシュアは早めに参列を済ませ、署内でオフィーリアを待っている。  あの後、どんなに捜しても捕らえた“昏きもの”二名、及びヴァッヘの姿は認められなくて、不祥事を起こしてしまった詳細は、オフィーリアの胸にしまわれたままだった。  対談の内容によっては、オフィーリアは容赦なくヴァイス署を解雇されるだろう。
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