―Prologue―

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 ただし、彼らが“食事”と称して人間の鮮血を啜る事だけは、唯一にして最大の脅威と恐れられている部分である。  彼ら“昏きもの”が求めるモノは、人間の血。  時にそれを求めた“昏きもの”が人間を襲い、容赦なく殺してしまう。  故にやはり吸血鬼として恐れられてはいる。  だが、四大霊鬼“蒼”であるシュバリエを始めとする、ほとんどの“昏きもの”は、よく物語で記述されるような、無闇に様々な人間の血を吸う事はしない。  この点については“昏きもの”共通なのだが、何事にも相性というのはつきものなのか、人間の中に含まれる血は、個々によってそれぞれ含まれる成分というものが微妙に違っているらしいのだ。  その差異がひとえに、“昏きもの”達が摂取出来る養分を変化させている。  その法則を無視して、無差別に血を啜っていると、食べ物の好き嫌いをする人間と同じように、偏食している事になり。結果、自らの寿命を縮める原因にもなり得るという訳なのだ。
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