―Prologue―

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 基本的に長生きというイメージが定着している彼らにも病気は存在するし、早死にという終幕も当然ある。  ならば、彼らはどうやって血を啜るのか?  その方法とは、人間に服従する事を引き換えに、血を確保する形で摂取するシステムだった。  このやり方ならば、相性の合う一人の人間に付き従い、その血に合わせて己の身体を“変異”させていく事で、むやみに血を啜る偏食を未然に防げる上に、契約主が死ぬまで血に事足りない生活を送れるというメリットまで生まれる。  しかし、一見画期的と思われるシステムにも、一応のデメリットはある。  というのも、“昏きもの”が契約主の一生に付き従い運命を共にするという、“血の契約”がもたらすデメリットがそうさせているに他ならない。  デメリットというのはずばり、契約主の死亡を意味する。  契約主である人間が何らかの事故や事件に巻き込まれ、突然にこの世を去ったりすれば、たちまちに困る事となる。
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