―Prologue―

16/17
前へ
/773ページ
次へ
 ただし、“ほとんどの者”に言える事であって、前述したようにオフィーリアは“蒼”の一族で在りながら考え方や生き方が、少し特殊な方向に異なっているのだ。  幼い頃に過ちを犯し、罪を背負う者の象徴として“贖罪の子”と呼ばれ、同族からも忌み嫌われ疎まれて生きてきたオフィーリアは、“昏きもの”や人間の黒い部分、“悪”の部分ばかり目の当たりにしてきたため無闇に人間を護る事はしない。  普段から言葉や態度にこそ示さないが、オフィーリアは知っているのだ。  “昏きもの”に限らず、人間にだって善人もいればどうしようもない悪人も存在する。  全てを見極めもせず、護るばかりではいけないという考えの持ち主であるが故に、単純に“人間は護る者”の理念を崩さない、“蒼”の一族にして従兄弟のアンダーテイカーとよく衝突してしまう。  例え護るべき人間であろうが悪ければ、というかオフィーリアが悪だと認識すれば、それこそ容赦なく攻撃する。  オフィーリアとて一族の規律は自分なりに解釈して守っているつもりだし、唯一の例外を除いて破ったつもりは一切ない。
/773ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加