第一話・―虚像の中の真実―

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 翌日、いつもより少し遅い出勤時間になってしまったオフィーリアだったが、あまり急ぐ事もせず署内に入る。  仕事上の相棒であり、“血の契約”を交わした契約主でもあるトウジは、つい最近シェイカー達が起こした一件で体調を崩し、いまだに有給を取っているので、一人きりでの出勤だった。 「お早うございますっ」  入るなり姿を認めたのか、黒髪を短くまとめ、縁なしの眼鏡をかけた。薄いブラウンの瞳をしている、やけに中性的な外見をした青年、スプラッシュが敬礼しながら元気な声で挨拶する。  そんな無駄に大きな声は、寝不足がたたり頭痛がするオフィーリアには辛いものがあった。 「……お早うさん」  それでも、無視する事は出来ないので、じんじん痛むこめかみを押さえながらも、取り敢えずといった形で返す。  それなのに、スプラッシュは本気で空気が読めないのか、にこにこ笑いながら再び口をひらいたのだ。
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