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翌日、いつもより少し遅い出勤時間になってしまったオフィーリアだったが、あまり急ぐ事もせず署内に入る。
仕事上の相棒であり、“血の契約”を交わした契約主でもあるトウジは、つい最近シェイカー達が起こした一件で体調を崩し、いまだに有給を取っているので、一人きりでの出勤だった。
「お早うございますっ」
入るなり姿を認めたのか、黒髪を短くまとめ、縁なしの眼鏡をかけた。薄いブラウンの瞳をしている、やけに中性的な外見をした青年、スプラッシュが敬礼しながら元気な声で挨拶する。
そんな無駄に大きな声は、寝不足がたたり頭痛がするオフィーリアには辛いものがあった。
「……お早うさん」
それでも、無視する事は出来ないので、じんじん痛むこめかみを押さえながらも、取り敢えずといった形で返す。
それなのに、スプラッシュは本気で空気が読めないのか、にこにこ笑いながら再び口をひらいたのだ。
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