―Prologue―

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 少年が追うのは、その掟を無闇に破り、罪もない人間を何の理由もなく殺したり、自分が抱く欲望のためだけに暇潰しのように、玩具のように扱う“昏きもの”達なのだ。  しかし、少年とて自らすすんでそんな残酷な処刑を執行している訳ではない。  全ては己が犯した罪を償うため、変えられもしない過去の過ちを正すため、そして二度と繰り返さないように忘れさせないため、精神と肉体に刻みつけられるためにすぎない。  その事が何より辛くて、だがどうしようもなくて少年は泣いているのだ。血に濡れた生き様を、どうあろうと認めたくはないからーー。  それなのに少年は何も知ろうとしない同族からすら忌み嫌われ、恐れられ、畏敬と畏怖の念を込めて、“贖罪の子”と呼ばれるようになっていた。  いつしか本当の名前すら忘れられ、誰しもが“贖罪の子”と罵るのに、いまだに幼い精神が耐え切れる筈はない。  少年はそれ故誰からも心を閉ざして、いつのまにか、笑わなくなっていた。
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