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「一緒に食べようよ」
「……放せ、シュバリエ」
殺気のこもった瞳で射抜くのに、男の子、シュバリエが表情を暗くする。
「僕だけじゃあ、食べ切れないよ」
今にも泣きそうな、震える声を出したシュバリエを見てあからさまなため息を吐いた。
「泣くな、木瓜」
「だって……」
服の袖を握りしめるシュバリエに、仕方なさそうに、蒼く柔らかい前髪を掻き上げたオフィーリアが応えた。
「その様子やったら、他のヤツと食べてまえって言うても聞けへんよな」
「……」
上目遣いの大きな赤い瞳には、既に涙が溜まってきている。
そうされる事に弱いのだと理解っているのか、憤りを隠さないままに小さな手を差し伸べる。
「……オフィーリア君」
「気、変わらん内にな」
力強く立たせてやったオフィーリアが、悪態を吐く代わりにそれだけ呟く。
「じゃあ着替えよう」
シュバリエが答えも聞かず走り出すのに、置いて行かれたくなくて、思わず手を伸ばしていたーー。
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