―Prologue―

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 シュバリエにだけは隠し事などしない、勝手に心の内でそう誓いを立てている。  あまりにも生きる事に楽しみ、喜びを見出だせなかった少年時代を送ったためにオフィーリアは基本的に、“生”に執着しない傾向にある。  いざとなれば何であろうと、誰であろうと置いて逝けるくらいの、実に綱渡りのような生き方をしていると、彼も自身で把握している。  そんなオフィーリアが、今でもヴァイス署陰契課に所属しているのは、やはりシュバリエの存在が大きいと言える。  多分、シュバリエが要所要所で傍にいて、へらへらと馬鹿面をさらして笑うからオフィーリアは救われている。  ただ、それが激しく気に入らないと思うのも紛れもない事実であり、そんな気持ちがいつも口を突いて出る。  その結果、ほぼ一方的にオフィーリアがシュバリエを罵るだけの会話が成立する。  そしてそれは端から見れば、特に同じ従兄弟であるアンダーテイカーが相手だと、その関係は非常に奇妙なものに映るらしい。
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